1か月前ほどでしょうか、アメリカ・カリフォルニア発のホイールブランド「Reserve」のロード用ホイールの国内販売が正式に発表されましたね。
MTBライダーなら数年前からブランド名は認知していた方もいたとは思いますが、実際ロードでの知名度はそこまでだったはず。
今回はスタッフバイクに「Reserve」を履いて走ってみました。
記事が長くなりますので目次を活用してください<(_ _)>
目次
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Reserveとは
Santa Cruz Bicycles のエンジニアによって2014年に誕生したホイールブランド。
誕生した理由は、「エンジニアたちは市場で最も耐久性のある強度対重量のカーボンホイールの作る方法を知っており、それを生涯保証でバックアップできるサービスを提供できるという認識があったから」だそうですから、かなりの自信ですね。
実際2017年に発売した「MTB用 Reserveホイール」は前代未聞の生涯保証のカーボンリムでしたが、発売から約12か月で市場でも評価の高いホイールブラントとして認知されるように。
MTBホイールの評価を受け、その後もグラベル用の「Reserve 22」をナーブスで発表し評価を受けたりしています。
で、問題は今回のロード用ホイールの誕生の流れですね。
2019年末にCervéloがReserveのエンジニアにホイールの製造について相談を持ちかけます。風洞実験の専門的知識や技術の高さがレースでも証明されているCervéloと、強度・耐久性を兼ね備えたホイールブランドReserveの共同開発…
そんな感じで各社の得意分野を持ち寄って作られたロード用ホイールのReserve35、Reserve50、Reserve65の3種類とグラベル用ホイールReserve32が海外市場で販売されます。
最初は各ホイールCervélo21年モデルのみに搭載されて、そのあとに単体販売されたはず。
リンク→https://www.cyclowired.jp/image-gallery/term/16349
アメリカのMTBブランドとカナダのロードバイクブランドなので関係なさそうではありますが、親会社がどちらも「Pon Holdings」なので横のつながりがある感じですね。
そして、2023年にJumbo Visma正式採用ホイールになります。
もちろんいきなり投入というわけではなく、Jumbo Vismaウィメンズとディベロップメントプログラムは21年シーズンにおいてReserveホイールを使用してレースしてましたから、しっかりデータを取った上での採用ですね。
2014 | Santa Cruz BicyclesのエンジニアによってReserve設立。 |
2017 | MTBホイールを初めて発売し、12か月で市場での評価が上がる。 |
2019 | グラベルホイール「Reserve 22」誕生、CervéloがReserveのエンジニアにホイールの製造について相談を持ちかける。 |
2021 | 海外市場にてReserve35、Reserve50、Reserve65の3種類とグラベル用ホイールReserve32が発売される。 |
2023 | Jumbo Visma正式採用ホイールになる。ウィンクレルが国内代理店になり正式に国内販売が開始される |
2023 | クライムサイクルスポーツ取り扱い開始(これ重要) |
とは言いつつ、国内流通もまだまだ少ないブランドでもあります。
情報に若干のズレなどあるかもしれません、ご了承ください<(_ _)>
ロード用ホイールラインナップ
ロード用ラインナップは全4種類で、それぞれリムハイトの高さが違い、ハブによって価格が変わります。
DTSwiss ハブ(HG11/XDr) | 価格(税込み) |
180 | 434,500円 |
240 | 365,200円 |
350 | 280,500円 |
Reserve 34|37(クライミングと一般的なロードライディング)
スポーク本数:24本
リム高:34mm(前)、37mm(後)
リム内幅:24mm(前)、22mm(後)
ハブ-ペア重量:180-1300g/240-1320g/350-1392g
対応タイヤ幅:25mm〜32mm
Reserve 40|44(疲れにくい硬さに設計され、ロングライドなどに)
スポーク本数:24本
リム高:40mm(前)、44mm(後)
リム内幅:25.5mm(前)、25mm(後)
ハブ-ペア重量:180-1368g/240-1388g/350-1460g
対応タイヤ幅:28mm〜45mm
Reserve 52|63(エアロダイナミクスレースホイール)
スポーク本数:24本
リム高:52mm(前)、63mm(後)
リム内幅:25mm(前)、24mm(後)
ハブ-ペア重量:180-1514g/240-1534g/350-1606g
対応タイヤ幅:25mm〜35mm
Reserve 77|Disc(P5とPXを中心に設計された、TT、トライアスロン、トラック)
スポーク本数:24本(前)
リム内幅:22.4mm(前)、22.2mm(後)
重量:565g F/1190g R 240ハブのみラインナップで1915g
対応タイヤ幅:25mm、28mm
※77/Disc以外の重量は各ホイールの実測となります。
※77/Disc以外リムのみのラインナップもあります。取り扱い店舗等にご相談ください。
RESERVEの特徴
ラインナップをご覧いただいたところで、RESERVE WHEEL ってほかのメーカーと何が違うのかという点ですが、2つ挙げてみます。
①空力の考え方
②リムの形状
①空力の考え方
実際どのメーカーも風洞実験や空力研究は行ってますし、それなりに方法も確立されているかと思います。
が、RESERVEはその「確立された方法」を見直してホイールにフィードバックしているメーカーです。
どんな考え方なのかというと……
①自転車業界の風洞実験は「層流」が一般的である
②しかし、実際のライドでは「乱流」がメインであり、攻略すべきものである
③風洞実験に「乱流」を含めることでより現実的な研究結果が得られるはず
『風洞実験で用いるソフトに「乱流」を含めると処理が複雑になったり、すごく時間がかかったりするため実用性や経済性から扱いやすい「層流」を使っているのが現状。
しかも、無秩序な「乱流」は単に1種類ではなく、環境によっても複数段階に分けられる。
そこで、風洞実験棟ではなく実世界の各地の「乱流データ」を収集し、風洞実験にフィードバックする。結果、他社ホイールよりも優れた空力データを記録した。』
…私の読解力が正しければおそらくこんな感じの主張だと思います。
そのため空力研究に携わった会社が、風関係で世界トップクラスの「RWDI」という会社です。
「乱流」についての専門家でもあり、ドバイにある世界一高い「ブルジュ・ハリファ」や、台北の「台北101」、ニューヨーク市の「ワンワールドトレードセンター」などの建築や開発に携わった実績がある会社らしいです。これ↓
ちなみに各地の風のデータ収集はリアルタイムに計測できるカスタムメイドスクーターを使用したらしいですね。
②リムの形状
リムはビジュアルでもわかる通り前後異径の形状をしていますね。
各ホイールセットに特有の構造とエアロダイナミクスがあるそうなのですが、とりあえず情報をまとめます。
安定性(Short,Wide) | 横風に対する反応を抑えるロープロファイルフロントの幅を広くすることで、流れを良くし、エアロ効果を向上させる。 |
エアロ(Tall,Narrow) | ハイトが高いので、リアの抵抗が少ないプロファイルの幅を狭くすることで、強度を向上。 |
重さ (Balance) | 安定性とエアロの組み合わせで、最適な前後バランスを実現。 Tall:重くなるが空力は良くなる。 Short:軽量化を安定性の向上。 Wide:安定性の向上。 Narrower:強度の向上。 |
エアロのCervélo、強度のRESERVEが押し出された特徴ですね。
実走
●使用ホイール
Reserve 52|63 240ハブ を新型シナプスに搭載して走りました。
完全に見た目9.5割で選びましたが、ロングライドを快適にちょっとでも早く走りたいと思ったので、あえてハイトの高いものにしています。
タイヤはピレリ P ZERO RACE の26C をチューブレス運用しています。
52/63のハイトは新型S5でも搭載されていたホイールで、S5だと28mmタイヤで空力が一番よくなるように設計されていたらしいです。
25mmから履けるホイールですが、安定感などを求めるなら28mmでも十分ですね。
むしろその方が空力性能が良かったりして。
●平坦
乗った感じは「程よく優しく、硬く、良く回ってくれるホイール」という印象。
『超絶ガチガチで乗る人を選びます‼』みたいなものではありませんね。
セラミックではないですが、240ハブのベアリングでもかなり回転性能はイイと思います。
180と240はRatchet EXP 36 、350はRatchet System 36 SLの構造を採用しており、とんでもない重量差があるわけではありませんが、おススメは240以上かなと思いますね。
試走日はかなりの風が吹いており、追い風と向かい風を両方体感しました。
で、結構横風を食らったのですがそこまで強烈にハンドルを取られた記憶はありませんね。
ストレスが減る分、漕ぐことに集中できるので向かい風もさほど苦労することなくクリアした記憶があります。
ハイトが高い分、速度が乗ったら脚も回しやすいですし、踏み込むのが楽しいぐらいです。
180ハブを購入したビアンキのオーナー様は『速度が落ちにくく、巡航速度が上がりました。ハブの回転性能はもちろんですが、ストップアンドゴーの際もマイルドな乗り心地で28Cタイヤとの相性もいいですね。』とのこと。
バランスの取れたReserve 40|44 も程よい剛性感とエアロ・回転性能を体感できるようです。
●坂
嘘は言いません、若干モッタリしています。(正直)
ですが、ハイトが高い割には意外にイケるな…..という感じもあります。
50㎜越えのハイトで「1500g台」ですから十分軽いんですよね。
ダンシングも別にやりずらいわけでもなく、踏んだ分はしっかり加速はしてくれます。
なので「始動時」と「登坂」をより快適にするなら、ハイトの変更かハブのグレードアップですね^^
まとめ
ホイールの空力と強度研究を現実的に見直した堅実なホイールブランドですね。
国内展開が少なくインプレや情報もまだまだ未知数かもしれませんが、実走することでその不安感は払拭されることでしょう。
ほかの方とも被ることもありませんし、初めてのカーボンホイールとしてもおススメできるブランドです。
これからどんどん力を入れていきますので気になる方はお気軽にご相談くださいね~